Terrasol’s EYE

No.9 憧れというマジック!?

2019/02/20

近年、転職の案件情報はインターネット上に溢れ、ポータルサイトサービスも次々と開発されています。さらに最近は、エージェントを介さず企業人事が候補者に直接アプローチするスタイルも日常化してきています。 

その状況下で、“憧れの企業だったから”“好きなブランドだから”と転職し入社した後のご相談を受けることも多くなってきました。しかも40代や50代前半でしっかりとキャリアを積まれた方からのご相談が少なくありません。 

ある50代の男性は、新卒時に第一希望で応募し不合格だった企業の人事から直接アプローチを受けました。“新卒時のリベンジができる!”とその話に飛びついたと言います。面接はあったものの、気持ちは舞い上がったまま入社を決めたそうです。組織内の自分の立ち位置や仕事の責任範囲、ひっ迫したビジネスの現状等、入社後に知ることも多く、培った経験を直ぐには活かせないという現実にぶつかり、試用期間中に退職されました。“どうしてもっと冷静に会社の状況や職務責任範囲などの確認ができなかったのだろう?”と反省しきりでした。30年近くも前の新卒の頃にまで時間が遡り止まってしまったような感覚だったそうです。 

また、ある店舗マネジメント職の女性は“好き&恋焦がれるブランド”の紹介を受け、ときめいて“好き好きアピール”をして入社されました。ところが、働き出すと前職でのマネジメントスタイルと転職先で求められるものに乖離があることがわかり、これでは好きなブランドまで嫌いになってしまうと短期間で退職され、相談に来られました。憧れのブランドをいつも扱えるということで細かな点が見えなくなり、先の男性と同様に、“入社前に確認すべき事項のチェック不足だった”と意気消沈されていました。 

好きな会社、憧れのブランドから直接アプローチされると、まるでかつて好きだった人から告白されたような気分にもなると思います。しかし、こと転職に関しては、憧れや好みといった感情を先走りさせず、一歩引いた冷静・客観的なビジネス目線が大切です。“企業としての健全性”や“自分の経験を活かせるか”“何を求められているか”等をきちんと把握し検討することが重要だと考えます。


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